大腸カメラ検査とは
大腸カメラ検査は、肛門からカメラや処置用の器具、照明用のライトなどが付いた細いスコープを挿入し、直腸から大腸と小腸の接合部や盲腸までを、医師の眼でくまなく観察出来るもので、医療用語では下部消化管内視鏡検査と言います。
検査の途中で疑わしい組織が見つかった時に組織の一部を採集すること、出血があった時に止血することの他、大腸ポリープが見つかった時にはその場で切除する日帰り手術も可能です。
日本では、大腸がんは常に罹患数や死亡原因の上位の方にあります。しかし、実は大腸がんは、早期に見つけさえすれば、侵襲の少ない治療で完治させることが出来やすいがんなのです。
その初期のうちの大腸がんや、将来がんに変わることがある前がん病変の大腸ポリープ(腺腫)などを確実に見つけることが出来るのが大腸カメラ検査です。
大腸カメラ検査は、事前に腸の洗浄液(下剤)を飲むことや、また腹部の張りを感じてつらいと敬遠する方も多いのですが、当院では、これまで多くの検査を手がけてきた日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医が、その手技をフルに活かして、苦痛の少ない検査を行っていますので安心してご相談ください。
大腸カメラ検査で見つかる疾患
大腸カメラ検査では、大腸ポリープ、大腸がんなどの他、過敏性腸症候群、虚血性腸炎、大腸憩室炎、炎症性腸疾患として難病指定されている潰瘍性大腸炎とクローン病などを見つけることが可能です。
大腸カメラを
受けるタイミング
大腸がんは、2019年の統計ではがん罹患者数の男女計で1位、男女別でもそれぞれ2位となっており、また2020年の死亡者数が男女計では2位で、女性のみで1位、男性は3位といずれも上位にランクされています。
50歳を過ぎると罹患数が増加してきますが、その前の段階でメタボリックシンドロームやそれに関わる生活習慣病のリスクが増えてくる40歳を過ぎた頃から、定期的に大腸カメラ検査を受けておくことをお勧めします。
また血縁のご家族に大腸がんを患ったことがある方がいる場合は、40歳にこだわらず、30歳代からの受診をお勧めします。
大腸がんやその前がん病変である大腸ポリープを確実に見つけることが出来るのは大腸カメラ検査だけですが、さらに、ずっと腸の調子が悪く、下痢や便秘が続いている方(炎症性腸疾患の可能性)や、血便がでた方、健康診断で便潜血を指摘された方などは、年齢にかかわらず大腸カメラ検査を受けて原因を確かめておくことをお勧めします。
当院の大腸カメラの特徴
研鑽を積んだ日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医がすべての検査を行っています
当院では、全ての内視鏡検査を、高度医療機関において治療技術と内視鏡検査の技術の修練を積んできた日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医が行っており、その技術を活かす高性能な内視鏡装置を導入しています。そのため、短時間のうちに精細で正確な検査を行うことが可能で、患者様の負担は最低限に抑えられ、安心して検査を受診して頂けます。
当院では設立2年にして、トータル約1500件、月に約100~120件の大腸カメラ検査を行ってきた実績があります。
鎮静剤を使用して楽に検査が
受けられます
当院では、大腸カメラ検査に抵抗がある方、以前に非常に苦しい思いをされた方などが安心して検査を受けることが出来るよう、鎮静剤を使ってうとうとと眠っているような状態のまま検査を受けて頂けるコースを用意しております。ですので、お体への負担が少ない状態で受診して頂くことが出来ます。
なお、鎮静剤を用いた内視鏡検査では、検査終了後もしばらくの間はその効果が持続することがありますので、ご自身での運転による自動車、二輪車、自転車などでのご来院はお控え頂いております。ご家族の方に送迎して頂くか、公共の交通機関をご利用ください。
高性能な内視鏡システム導入
当院で使用している内視鏡検査装置は、大学病院やがん研究所などと同等の高性能な内視鏡検査システムです。
内視鏡検査で異常と思われる組織を発見した場合、その色や形、表面の状態などをしっかりと観察して鑑別することが大切です。特に大腸は細かく曲がりくねって、内部のひだも多いため、通常の映像だけではその陰に隠れてしまうような小さな病変もあります。当院で使用している内視鏡装置は、そのために対象の組織を70~80倍に拡大してハイビジョン画質で出力することで、炎症や腫瘍の状態、悪性・良性の鑑別なども、より精細に、また高い精度で可能になっています。
内視鏡室に
ブルーライト照明を完備
当院では、内視鏡検査室の照明に、モニターの視認性の向上と検査者の集中力向上などの効果が報告されているブルーライト照明を導入しました。
検査への集中は、内視鏡検査における病変の早期発見にとって重要で、特にひだの多い大腸内の検査にとって検査環境は大切です。
当院はいち早くこうした検査環境を取り入れることで、検査の精度を向上し、患者様の満足に繋げることを大切に考えております。
痛みや不快感を最小限に抑える
無送気軸保持短縮法
大腸は、お腹を大きく取り囲み「の」の字を描くように曲がっており、さらに全体も曲がりくねっています。検査の際、どうしても曲がりの部分で圧迫感を感じることがあります。当院では、この圧迫を出来るだけ無くすように、腸を手前にたぐり寄せるようにしながら、曲がり角の角度を伸ばしていく、無送気軸保持短縮法を使ってスコープを挿入していきます。この方法は研鑽を積んだ確かな手技を持つ医師にしか出来ないものです。
検査中に前がん病変の
大腸ポリープ切除も可能
大腸ポリープにも何種類かありますが、そのうちでも腺腫が最も多くみられるものです。腺腫自体は良性のものですが、放置してしまうと、悪性化してしまう可能性がある前がん病変です。当院では、もし検査中に大腸ポリープを発見したら、その場で切除してしまう日帰り手術が可能です。大腸ポリープを切除しておけば、将来のがん化が予防出来ることになります。つまり大腸カメラ検査は1日のうちに、検査、治療、予防までを可能にしてくれることになります。検査後数日間の制限はありますが、入院の必要も無くそのままご帰宅頂けますので、患者様の負担が大きく軽減できます。
※ただし、ポリープ切除後に入院が必要な場合があります。
また、ポリープが大きい場合、数が多い場合などは、別途入院による切除が必要になることもあります。
膨満感を解消する炭酸ガス送気
大腸は、大きく回っている上、細かい部分でも曲がりくねり、ひだやしわの多い構造となっています。そのため、その陰に隠れた小さな病変も見逃さないように、腸に気体を送り込んでしわやひだを伸ばしながら検査を行います。従来は、この気体に空気を使っていたのですが、やや吸収が遅く、検査後の腹部膨満感など、辛さの一因となっていました。
そこで当院では、この気体に空気の20倍も吸収が早いという炭酸ガスを使用して、検査後の辛さを和らげるように工夫しております。
注入した炭酸ガスは、腸壁からすぐに吸収され、呼気に混じって排出されていきますので、ご安心ください。
洗浄液服用を院内で行えます
大腸カメラ検査を行う際、腸内に食物の残滓や便が残っていると、その陰に隠れた病変を見つけられない危険性があります。そのため、検査当日の朝、腸内洗浄薬(下剤)を使用して綺麗に腸内を空にした状態で検査を行います。
この下剤については、通常ご自宅で朝服用して、下剤の効果がすっかり落ち着いた頃にご来院頂くことになりますが、どうしても家で使うのは不安だという方もいらっしゃいます。
そのため、当院ではプライバシーに配慮し、感染対策も徹底した、トイレ付きの個室を2室用意して、朝早めにご来院頂き、院内でリラックスしながらゆっくりと下剤を使って頂けるようにしております。
また、何かあった場合もすぐにスタッフが対応出来ますので、安心して検査を受けて頂くことが出来ます。
横になったまま
リカバリールームへ移動
鎮静剤を用いた検査をお選び頂いた場合、専用の移動可能なストレッチャーでうとうとしたような状態のまま検査を受けて頂けます。検査終了後もストレッチャーのままプライバシーに配慮したリカバリールームまで移動させて頂きます。目が覚めるまでゆっくりとお休みください。
検査ごとに徹底的な洗浄・消毒を行っています
内視鏡検査は、人の身体に入ったものを使っているから心配だ、特にお尻から入れるのも心配だという方がいらっしゃいます。
しかし、内視鏡装置の清掃と消毒に関しては、日本消化器内視鏡学会で厳しいガイドラインを定めています。当院でもそれを遵守し、患者様1人ごとに徹底して機器の洗浄と消毒を行っています。
安心して検査を受けて頂く環境を作るのも、大切な医療の一環と心得ております。
土曜日も大腸カメラ検査が
受けられます
当院では土曜日も大腸カメラ検査を受けて頂くことが可能です。その場合、早朝からの下剤使用となりますが、大腸ポリープが見つかった場合、その場での切除も可能です。
お気軽にご相談ください。
大腸カメラ検査の流れ
1診察にお越しいただきます
慢性の便秘、下痢といった症状のある方は事前に診察を行います。その際、大腸カメラ検査を受ける際の注意点や数日前から始める食事制限などについての説明を致します。また必要に応じて血液検査などを行うこともあります。
2検査前日
前日の夕食は21時ごろまでに消化の良いものでお済ませください。透明で糖分の含まれない水やお茶などで、適切に水分は補給してください。夕食後、「ラキソベロン内用液0.75% 10mL」という下剤を服用して頂きます。
3当日朝
朝食は摂らずに、指示通りの時間から2時間かけて2Lの腸内洗浄薬「ニフレック」を服用して頂きます。ニフレックは、これまで長く愛用されてきた下剤で、服用方法は、水に溶かして飲むだけですので簡単です。
なお、水分補給は前日夜と同様、透明で糖分の入っていないもので適宜行ってください。
4ご来院
ご来院頂いたら、受付を済ませてください。スタッフが更衣室にご案内します。検査着へのお着替えが済んだら検査の準備を行います。なお鎮静剤を使用する場合は、検査用のストレッチャーベッドに横になってから点滴を入れ、その後鎮静剤を投与します。
※ご注意:鎮静剤を使用する場合は、ご自身の運転での自動車、二輪車、自転車などでのご来院はお控え頂いております。ご家族の方に送迎して頂くか、公共の交通機関をご利用ください。
5検査
検査自体の所要時間は10~20分程度ですが、ポリープの切除、組織の採集などの処置を行う場合はその分時間がかかります。
6検査後
鎮静剤を使用しない検査の場合は、そのまま検査の結果説明となります。医師が検査画像を使用しながら分かりやすく説明しますので、何かありましたら遠慮無くご質問ください。
鎮静剤を使用した場合は、ストレッチャーのままスタッフがリカバリールームにお運びします。
完全に目覚めるまでゆっくりお休み頂き、その後結果説明となります。
なお、採集した組織や切除したポリープは病理検査を行います。結果は数日後に判明しますので、再診の際にご説明致します。
検査当日は激しい運動や遠距離の移動はお控えください。またポリープの切除などを行った際は、1週間程度運動や遠距離移動、食事、入浴などに制限があります。当日医師から詳しく説明しますが、出血する恐れなどがありますので、必ず指示を守るようにしてください。
大腸カメラ検査の費用
お腹の調子が悪い、下痢、便秘が続く、血便があるなどに何らかの症状が出ている、健康診断で便潜血検査陽性など、腸の状態に関する何らかの指摘を受けたといったケースでは、健康保険が適用されます。
健康保険適用の検査は、保険点数が決まっており、全国一律の料金となります。