食道がんとは
食道がんは、がんの部位別統計では中位にあって、2018年の統計では、男女計では人口10万人当たり20.5例の罹患者がいるという報告があります。男女別では、10万人当たりで男性は34.7例、女性は7.0例と圧倒的に男性に多いがんとなっており、近年増加傾向にあり ます。
食道がんは40歳代から増え始めて、罹患数、死亡数共に70歳代でピークとなっています。また、他部位との重複が多いことも特徴の一つです。
食道がんは、飲酒・喫煙習慣に関係する扁平上皮がんと、逆流性食道炎がきっかけとなる腺がんに分類出来、以前は圧倒的に扁平上皮がんが多かったのですが、近年では日本でも食生活の変化から逆流性食道炎が増えてきており、腺がんも増加してきています。
食道がんも、初期のうちはほとんど自覚症状がありません。早期発見さえすれば、胃カメラだけの処置で完治出来るのですが、気づかずに進行してから発見されることが多くなっています。リスクの増加する40歳を過ぎたあたりから、定期的に胃カメラ検査を受診することをお勧めします。
食道がんの症状
初期のうちは、ほとんど自覚症状がありません。しかし進行してしまうと、飲み込みにくい、のどがつかえるといった、のどの違和感、咳、嗄声(しゃがれごえ)、胸や背中の痛み、体重減少などが起こります。初期のうちに発見されるのは、ほとんどが人間ドックなどの胃カメラ検査によりますので、定期的な胃カメラ検査が大切です。
食道がんの原因
食道がんには扁平上皮がんと腺がんがありますが、それぞれによって原因は異なります。
扁平上皮がんは、喫煙や飲酒が主な原因です。続いて、飲酒との関わりもありますが、お酒を飲んで顔が赤くなる体質の人も、食道がんのリスクが高いと考えられています。アルコールが最初に代謝されてできるアセトアルデヒドですが、このアセトアルデヒドは発がん物質と考えられています。お酒を飲んで顔が赤くなるのはこのアセトアルデヒドの分解酵素をあまり持っていないためと考えられており、そのためリスクが上がります。
その他では、熱い飲み物をよく飲む人、下部食道括約筋が締まったままになり食道に食べた食物が詰まってしまう食道アカラシアの人などが扁平上皮がんのリスクが高いと考えられています。
一方、腺がんは、逆流性食道炎や、そのために食道粘膜が胃の粘膜になってしまうパレット食道などで発症リスクが高くなるとされています。また喫煙・肥満などの生活習慣も原因となります。
食道がんの診断
食道がんを早期のうちに発見出来るのは、胃カメラ検査だけです。胃カメラ検査は食道の様子も詳細に観察出来、もし疑わしい組織を発見したら、サンプルを採集して病理検査を行い、確定診断に導くことも可能です。
当院では、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の医師が、高性能な内視鏡システムを駆使して、迅速でありながら精細な観察を行うことが出来ます。そのため、患者様の苦痛を極限まで減らした検査が可能になっています。どうしても検査が気になるという方は、鎮静剤を使用してうとうとと眠っているような状態での検査も可能です。安心してご相談ください。
食道がんの治療
早期に発見出来た食道がんは、内視鏡による処置だけでの完治も可能です。しかし進行してしまった場合は、状態に応じて外科手術や放射線療法、抗がん剤による化学療法などを行うことになります。
特に自覚症状が無くても、発がんリスクの上がる40歳代を過ぎたら、定期的な内視鏡検査を受けることをお勧めします。